介護業界は、身体介護に必要な肉体労働に加えて、給与面で待遇が良くないという状況が続き、慢性的な人材不足に悩まされてきました。そこで、介護職員の給与面において待遇改善を図るため、処遇改善加算という制度が導入されました。この処遇改善加算とは、職員のキャリアアップにつながるシステムを構築し、さらに職場環境の改善計画を立てた事業所が行政機関に請求することで介護報酬に上乗せされて支給されるというものです。処遇改善加算により支給されたお金は、全額が非常勤や派遣社員を含めた全ての介護職員の給与に充てなければなりません。したがって、事業所の所長や理事長には分配されてはならないことになっているのです。事業所が処遇改善加算について実績報告書を行政機関に提出することを義務付け、該当者以外への支給といった不正を防止しています。
この制度のおかげで介護職員の給与は上がり続けることになり、全国平均では介護職員の月給が4年間に20000円以上も上がったという報告もあるようです。もちろん、事業所が行政機関に請求しなければ処遇改善加算は支給されませんが、実際には介護事業所の90パーセント以上が処遇改善加算を取得しています。
ただし、請求したからといって全ての事業所が同額の処遇改善加算が支給されるわけではありません。行政機関から提示された職場改善項目の充足状況により給付額は異なります。したがって、より多くの改善項目を充たした事業所ほど高額の処遇改善加算を受給できるというわけです。更には、特定処遇改善加算という制度が導入され、実務経験豊富なベテラン介護福祉士などの給与アップが見込めるようになりました。